帳票作成ツールとは
なぜ今、帳票ツールの導入が進んでいるのか
前回の記事でもご紹介しましたが、売上帳や仕入れ伝票、納品書といった帳票類は、「電子帳簿保存法(電帳法)」で保存方法や保存期間が定められており、これまでは「紙保存」が原則とされていました。
しかし令和4年、経済社会のデジタル化を踏まえて、事前承認の廃止やシステム要件の緩和など、帳票電子化のハードルを大きく引き下げる改正が行われました。これにより本格的に帳票電子化の流れが加速し、帳票ツール(帳票作成ツール)と呼ばれるサービスが注目を集めています。
帳票ツールの概要とメリット
帳票ツールは、帳票のデザイン、データセット、読み取り(OCR)、編集、出力、管理など、電子帳票に関する様々な業務を効率よく行うための支援ツールです。
具体的な働きとしては、帳票デザインツール上で雛形となる帳票を設計して、データベースから帳票に表示するデータを引用して動的に差し込み、業務の要件に合わせた様々なフォーマット(PDF出力、Excel出力、プリンター印刷など)で保存や出力を行います。
帳票ツールを使用することで、日々の帳票作成の時間や手間が大幅に短縮される上、ペーパーレス化による情報検索性の向上やコスト削減、省スペース化といった効果が期待できます。
帳票ツール、近年の動向
元々帳票ツールはオンプレミスの自社運用型が主流でしたが、近年は、任意の環境からアクセスでき、コロナ禍で増加しているテレワークにも対応可能なこと、社内での共有や承認がしやすく、即時性が高いこと、導入コストが低いことなどから、クラウドサービス型の帳票ツールを導入する企業も増えています。
複雑なプログラミングなしで簡単に帳票を作成できるのはもちろん、データベースのデータをグラフやチャートで可視化して帳票に差し込んだり、外部サービスと連携して一定の条件を満たしたら自動的に帳票を作成する帳票ツールも登場し、その利便性は年々向上しています。
帳票作成ツールを選ぶポイント
帳票ツールを選定する際には、機能、コスト、導入・サポートといった様々な観点から検討する必要があります。選定条件に取り上げられやすいポイントを紹介しますので、参考にしてください。
対応できる機器、環境
一口に帳票と言っても、その活用場面や利用シーンは企業によって様々です。
まずは、電子帳票を利用するにあたって、
- 自社のシステム環境で使えるツールか
- 自社で使用しているパソコンのOSやブラウザで利用できるか
など、自社の要件とツールの対応機器や利用環境が合うかどうかをチェックしておきましょう。
データのインポート
◎既存のデータベースとの連携
帳票データの生成にあたっては、どのようなデータソース・データベースと接続できるかが重要です。業務サーバー、クラウド型のデータベース、CSV・Excelなどのテキストファイルと、データの引用元となるデータベースによって選ぶツールが変わってきます。
◎帳票データの取り込み機能、OCR登録
また、これまでに作成したExcel、Word、PDF形式の帳票を取り込むインポート機能があれば、帳票ツールの導入をスムーズに進めることができます。
最近はOCR連携(既存の紙帳票を読み込んで電子化する)機能を備えたツールもあります。取引先からの書類を読み取って電子化することも可能なので、ペーパーレス化を目指している場合は、そうした機能がある帳票ツールを選ぶと良いでしょう。
デザイン・レイアウト設計
◎操作画面の使いやすさ(UI/UX)
請求書、契約書、申請書をはじめとする多種多様な帳票の生成には、帳票ツール上で何の項目をどのように配置するのか細かい設計が必要になります。そのため、帳票ツールは操作画面がわかりやすいもの、操作性が良いものを選びましょう。
特におすすめなのは、ノーコード・ローコードで利用できる帳票ツールです。プログラミングを必要とせず、簡単なマウス操作や必要最低限のキーボード入力だけで帳票を作成できます。ツールの定着化にも直結してくるので、検討の際は、開発者・IT部門だけでなく、ユーザー部門の担当者も交え判断するのがベストです。
◎帳票設計の柔軟性
配置の調整、画像やスタイルの編集、集計方式といった帳票設計の柔軟性は、ツールによってかなり差がある部分です。
特に集計方式は帳票で利用することが多く、データベースとツールの連携によっては上手く項目が集計できないケースもあるので、自社の要望通りのことができるのか、よく確認する必要があります。
ちなみに、データソースから動的にグラフやチャートを作成する機能があるツールなら、視覚的に理解しやすく、よりクオリティの高い帳票が作成できるようになります。円、折れ線、棒グラフ、ツリーマップ、ガントチャートといったグラフの種類や表現力も参考にしておくと良いでしょう。
データ出力
◎出力形式
作成した帳票をどのように出力できるかは、帳票ツールを活用していく上で重要なポイントです。プリンタ印刷はもちろん、 PDF・Excel・Word・CSVファイルの出力、FAX送信、メール送信など、自社の業務に応じた出力形式に対応しているかを確認してください。
この際、「電子契約サービスと連携して自動で契約締結ができるようにしたい」「出力した帳票データを社内承認のワークフローに流せるように設定したい」「帳票を出力すると同時に権限を付与したメンバーへ一斉送信したい」など、帳票を作成した後にどう活用したいのか、というところまで合わせて検討すると、候補を絞り込みやすくなります。
◎大量出力への対応
帳票ツールの中には、一定期間内の出力枚数が決められていたり、出力枚数に応じて価格が変動したりするものがあります。
出力枚数が大量となることが予想される業務においては、大量出力にも対応可能か、大量出力をした場合のコストや処理速度なども確認しておくことが必要です。
セキュリティ、安全性
企業の重要情報となる電子帳票の運用にあたっては、情報漏洩などのリスクを回避したり、機密情報の安全性を担保したい、という声もよく聞きます。
ユーザー毎に参照、編集などの権限を指定できるか、暗号化やパスワード付きのファイル生成が可能か、アクセスログや編集履歴を残せるかなど、自社に必要なセキュリティレベルをクリアできるか確認しておきましょう。
導入コスト、ランニングコスト
帳票ツールの種類によって、かかる費用は大きく異なります。
自社サーバにインストールするオンプレミス型ツールの場合は、帳票ツールそのものの費用、初期導入費用、開発費用、年間保守費用などがかかります。また、導入後の機能修正等は改修コストが別途発生するので、最初の仕様検討で必要な機能をよく洗い出しておく必要があります。
クラウドサービスの場合は、初期導入費用とサブスクリプション方式で期間に応じた利用料(製品一律やID数やデータ容量に応じた従量制など)が発生するのが一般的です。
クラウドサービスの場合は、初期導入コストが低く、追加費用なしで定期的に機能アップデートされるメリットがあります。
サポート・保守サービス
帳票ツールを利用する上での問い合わせ、トラブルに対するサポート体制や保守サービスも重要な選定ポイントです。
問題点の修正や法改正に伴うアップデートといった保守管理の面が充実しているか、メンテナンスにどのくらいのコストがかかるか、トラブル発生時の問合せフローはどのようになっているかなど、自社のシステム管理部門の状況と合わせて確認しておく必要があります。
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オプロは15年以上に渡り、企業の電子化・ペーパーレス化をご支援してきました。「帳票DX」は、その中で得たノウハウと技術を集結させた次世代型のクラウド帳票サービスがです。
SalesforceをはじめとするSFA/CRMや基幹システム上から、完全自由設計の帳票を出力でき、帳票の配信や電子契約、クラウドストレージなど、外部のクラウドサービスと連携する拡張性の高さが特長です。
帳票DXにより。これまでアナログ作業で請求書等を作り、メール添付や郵送していた手間を大きく削減することができます。
〈帳票DXの選定ポイント〉
- PDF/Excel/Word/PowerPoint/CSVなどのファイル形式での出力、一括出力、zip保存、パスワード付PDF出力など幅広い出力方法が可能
- Salesforceとの親和性が特に高く、関連性のないデータ同士を自由に統合して、通常作ることが難しい型の帳票を生成できる
- ウェブデザインツールまたはExcel、Word、PowerPointで帳票の雛形を設計可能。帳票は受託作成もできる
- 設定ベースで電子署名・タイムスタンプ、会計、 FAX、 SMS、外部ストレージ、 AI OCRといった各種クラウドサービスと連携できるため、個別開発が不要
- 帳票出力枚数は無制限(1ファイルあたりのデータ量、時間当たりのリクエスト数がプランにより異なる)
- ISO/IEC認証、データセンターの多重運用、暗号化通信、VPN通信、IPアドレス固定サービスなどによる安全性も高い
自社の帳票業務を電子化したい、電子帳票を後続プロセスにつなげて自動化したい、といった要望をお持ちの方は、ぜひ一度、下記より製品ページをご覧ください。